朝食のワッフルから生まれた"発明"が、スニーカーの歴史を変えた!
1970年代初頭、ナイキの共同創業者ビル・バウワーマンは、あるジレンマに頭を悩ませていた。新しい人工トラックにおいて、従来のスパイクは刺さりすぎ、フラットシューズでは滑ってしまうのだ。解決の糸口は、意外な場所からもたらされた。1971年の朝、妻が焼いたワッフルの格子模様を見て、彼は閃いた。「これを裏返してトラックに接地させればうまくいくかもしれない」。
バウワーマンは直ちに自宅のワッフルメーカーに液体ウレタンを流し込み、試作を敢行。愛用の調理器を犠牲にしながらも完成したそのソールは、後に"MOON SHOE(ムーンシュー)"と呼ばれるプロトタイプへと進化し、1972年の全米オリンピック選考会で注目を浴びることとなる。一般向け製品として最初のワッフルソール搭載モデル"オレゴン・ワッフル"が1973年に発売され、続く1974年には"ワッフルトレーナー"として本格的に市場投入。1975年までの受注数が10万足を超えるベストセラーを記録する。
そして1977年、その進化の系譜における「集大成」として誕生したのが、今回復刻される"WAFFLE RACER(ワッフル レーサー)"である。 "AIR(エア)"が導入される直前の時代において、当時のナイキ ランニングの最上位に位置したこのモデルは、単なる後継機ではない。ミッドソールには当時最先端の素材であった"EVA"を採用し、大幅な軽量化を実現。さらに、接地面積を広げたワイドなアウトソール設計により、ロードレースやクロスカントリーなど、タイムを競うシリアスランナーのための「競技用ギア」として開発されたのである。
今回の復刻版では、その歴史的な背景と70年代の空気を忠実に再現した。アッパーはクラシックなブルーのナイロン素材で構築し、負荷のかかるつま先や踵には質感の粗いスウェードを配置。サイドを駆けるイエローの大ぶりなスウッシュにはレザーを採用し、素材のコントラストで奥行きを生み出した。 また、切りっぱなしのシュータンから覗くスポンジや、経年変化したようなクリーム色のミッドソールが、デッドストックのようなヴィンテージ感を演出。その下には、全ての始まりであるブラックのワッフルソールが鎮座し、半世紀を経ても色褪せない機能美を主張する。
日本国内では2025年12月13日にナイキ取扱店にて発売予定。価格は12,430円(税込)。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのXやFacebookなどで報告したい。
■MIDNIGHT NAVY/SAFETY ORANGE-SAIL (IM8658-400)
■TOPAZ GOLD/STADIUM GREEN-SAIL (IM8658-700)
■BLACK/SAIL-COCONUT MILK-GUM DARK BROWN (IM8658-001)





























