ナイキ黎明期の名作"LD-1000"がレトロな配色で登場!
1970年代、アメリカでは健康志向の高まりと共に空前のランニングブームが巻き起こっていた。まだオレゴン州の小さな企業であった"NIKE(ナイキ)"にとって、それは大きな追い風となった。その渦中、ブランドの共同創業者であり、オレゴン大学の伝説的な陸上コーチであった"BILL BOWERMAN(ビル・バウワーマン)"は、アスリートのパフォーマンスを向上させるという純粋な情熱から、一足の革新的なシューズの開発に乗り出す。
彼がタッグを組んだのは、足専門医のD.R.ヴィクター。目指したのは、「1年間で1000マイル走れる」ほどの耐久性と、ランナーを故障から守る機能性の両立であった。こうして1977年に誕生したのが、"LONG DISTANCE"を意味する"LD-1000"である。軽量なナイロンアッパーにスウェードの補強、そして最大の特徴は、踵部分を厚くし、外側に広げた"フレア状ミッドソール"であった。これは、当時多くのランナーが悩まされていた、着地時の足の過度な内側への倒れ込み(オーバープロネーション)を防ぐための画期的な設計であった。
しかし、この挑戦的な設計は諸刃の剣であった。正しいフォームで走るランナーには絶大な効果を発揮した一方、一部のランナーにとっては逆に膝への負担を増大させる可能性が浮上。新興ブランドであったナイキのもう一人の創業者"PHIL KNIGHT(フィル・ナイト)"は、製品のリコールという苦渋の決断を下す。だが、この誠実で迅速な対応は、皮肉にもランニングコミュニティからの信頼を勝ち取る結果となった。「新しいことに挑戦すれば失敗もつきものだ」と、ナイキの革新的な姿勢は逆に熱心なランナーたちから多くの労いの言葉を掛けられ、ブランドへの忠誠心を高める契機となったのである。
その物語を宿す黎明期の名作が、現代のライフスタイルシーンで復刻。最新作は、オリジナルカラーを彷彿とさせる鮮やかなオレンジで登場する。アッパーは通気性の良いメッシュをベースに、同色のスウェードを補強パーツに採用。サイドを飾る大ぶりのスウッシュにはクリーンなホワイトを、ミッドソールにもホワイトを、そしてナイキ伝統のワッフルソールにはブラックを組み合わせ、オーセンティックな雰囲気に仕立てている。豊かな歴史とファッション性が融合した一足が、鮮烈なカラーを纏い、新たな魅力を放つ。
日本国内では2025年9月13日よりナイキ取扱店にて発売予定。価格は14,630円 (税込)。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのTwitterやFacebookなどで報告したい。