衣服の視点でクラシックコートを組み直す"ADRIA"!
"YOHJI YAMAMOTO(山本耀司)"を語るとき、黒のイメージや反骨精神だけでは掬い切れない。慶應義塾大学で法律を学んだ後、母の仕立て店を手伝いながら服作りへ向かい、文化服装学院を経て1972年に"Y's(ワイズ)"を設立。1981年にはパリでコレクションを発表し、男性服の構造を女性の身体へ移し替えるようなアプローチ、身体を締め付けずに包み込む布の扱い、未完成や非対称に宿る美しさによって、当時のファッションの価値観を大きく揺さぶった。服を装飾としてではなく、身体を守り、動きを受け止め、着る人の輪郭を変えるものとして捉える感覚。その視点が、"ADIDAS(アディダス)"との共同ライン"Y-3(ワイスリー)"にも深く流れている。
2002年に始動した"Y-3"は、アディダスのスポーツに根差した技術と、山本耀司の服作りを結びつけ、ファッションスポーツウェアという領域を切り拓いた。ブランド名の"Y"はYohji Yamamoto、"3"はスリーストライプスを示し、その間に置かれたハイフンは両者の関係性を象徴している。近年の"Y-3"は、ランニングやフットボールのパフォーマンスモデルをモードへ引き寄せる一方で、クラシックなコートシューズやキャンバススニーカーにも、素材、比率、余白の扱いで独自の緊張感を与えてきた。
その流れの中で登場する"ADRIA(アドリア)"は、素朴なキャンバススニーカーの文法へ焦点を当てたモデルである。アッパーはキャンバス調の軽やかな質感でまとめ、つま先にはラバーのトゥキャップ、外周には厚みのあるフォクシングテープを配置。足元を守る道具としてのスニーカーらしさを残しながら、サイドのスリーストライプスや"Yohji Yamamoto"のシグネチャー、ヒールの"Y-3"ロゴによって、日用品のような親しみやすさにモードの静けさを加えている。ガムカラーのアウトソールに刻まれた細かなヘリンボーンパターンも、クラシックな競技靴の記憶を呼び起こすディテールだ。
ラインナップはローカットとハイカットの2型を軸に、ホワイトとブラックを反転させる4モデルで構成。ローカットは足首まわりをすっきり見せ、ラバーのトゥとヒールのコントラストを強調。ハイカットはキャンバスの面積が広がることで、ブーツのような重心と、布で足を包む感覚が際立つ。ホワイトには黒の輪郭を、ブラックには白のラインを差し込むことで、色数を絞りながら視覚的なリズムを生み出している。過剰な装飾に頼らず、素材の粗さ、ラバーの厚み、シルエットの高さで見せるあたりに、山本耀司らしい“引き算の強さ”が宿るコレクションとなっている。
日本国内では"KI2666"と"KI2668"が2026年7月10日1時、"KH9321"と"KI2669"が7月24日1時よりADIDAS ONLINEにて発売予定。価格はローカットが30,800円(税込)、ハイカットが33,000円(税込)。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのXやFacebookなどで報告したい。
■ローカット ホワイト(KI2666)
■ハイカット ブラック(KI2668)
■ローカット ブラック(KH9321)
■ハイカット ホワイト(KI2669)







































